【連載】涙で描いた祖国 ～ 北朝鮮難民少年チャン・キルスの手記（１３）　　犬も食っちまえ

ゆでイモと人民軍の兵士
「今日は腹いっぱい食おう」あまりにお腹が空いて寝られないのか、軍人たちが集団農場で盗んできたジャガイモを、うちの家に持ち込んでゆでて食べ始めました。兵士数人でふた桶あったジャガイモをあっという間に平らげてしまいました。　―ハンギル（キルスの兄）

夜は軍隊の世の中　　「あいつも敵だ」
夜になると腹を空かせた人民軍の兵隊が強盗に変身します。民家の壁を打ちこわして、家畜や食糧を持ち去るのが今日の人民軍。ぼくらの敵は米帝国主義者でも、南朝鮮でもありません。たびたび強盗に早変わりする人民軍が、一番恐ろしい敵になってしまいました。「人民のために服務する」などとスローガンに書いてあっても、実際は人民の上に君臨する軍隊になってしまいました。　―ハンギル（キルスの兄）