一般の装甲車と違って、防爆対策が強化されたMRAPの車内は特殊なキルティング張り。(2010年5月/撮影:玉本英子)

爆発物処理部隊を率いるケマル・ジャスム大佐(56)は言う。
「師団のなかでは爆弾処理にあたる兵士の殉職率が一番高い。だから、我々を『死に一番近い部隊』と呼ぶ人もいる」

爆発時の対処法などいくつかの注意を兵士から受けたあと、私は爆弾処理装甲車MRAPに乗り込んだ。核シェルターの扉のような後部のドアをあける。重厚で細長の車内。まるで鋼鉄の棺おけという感じだろうか。

鈍い排気音を響かせ、幹線道を10kmほどの低速度で走りだす。2台のMRAPが道路の左右を平行に走る。
爆弾が敷設される路肩を中心に爆発物を探知をしているのだ。これを毎日繰り返しながらモスルの街を巡回し続けている。
気の遠くなるような作業だ。

1日の任務を終え、基地に帰隊した爆弾処理班の兵士たち。(2010年5月/撮影:玉本英子)

緊張でこわばった私の顔を見て、兵士が言う。
「この分厚い装甲は、RPGロケット砲を喰らっても大丈夫だ。安心しろ。インシャアッラー!」
兵士たちから笑いがもれる。

走行中、車体からつきでたアンテナからはずっと電波が送出されている。武装勢力が遠隔操作で爆破スイッチを起動できないように常時、妨害電波を放出しているのだ。そんな最新防爆機能搭載のMRAPといえども、有線起爆式の仕掛け爆弾で狙われればひとたまりもない。

アメリカはこんなものを多額の費用を投じて開発するよりも、「戦争をしないで国際問題を解決する方法」でも考え出せばとも思うが、いまはこの装甲車の固い装甲に守られて走るしかない。

車両はゆっくりとモスルの街なかを進んでいった。
(つづく)
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