誰が入所させられるのか?
シム:甑山に送られる人で最も多いのは、何の罪の人たちなのですか?
B:私がいた管理課では中国への不法越境罪が一番多くて、それがおよそ八〇%。越境罪が本当に多かったです。三~五〇代の女性ばかりです。皆中国に家族を残してきたので、夜寝る時は子供を思い、夫を思って涙を流して寝ないんです。

その人たちは、「(教化所から)出られれば無条件に中国にいる家族の所に行く」と言うんですよ。中国に渡る途中で死ぬようなことがあるかもしれないけれど、それでも自分の子供や夫の所に行って暮らすと、隠せずに話していましたね。

あとは皆が私のような者ですよ。罪といっても罪なんかでない事柄です。ただ食べて生活していくのが難しいからやったことです。今朝鮮では、何をやっても引っかけられるんですよ! 歩いても罪になる、まるでそんな仕組みなんです。どうやって生きていけますか?

シム:強盗罪のようなのは?
B:強盗というのはあまりいない。私たちは女の管理課に入れられたから強盗というのはいなくて、若い女の子たちが体を売ってお金をもらった罪で入れられているのが多かったです。そんな子たちはよく泣いていました。

シム:そんな女の子たちは親もいないだろうから面会に来る人もないでしょうね?
B:いないですよ。家族が面会に来るのは一〇%いるかどうか。あそこは一言でいうと教化所なんですが、その中に労働鍛練隊があるんです。一課二課は教化、三課は鍛練隊、四課は別の何かで、また五課は鍛練隊という風に、鍛練隊がおよそ三個か四個かあります。教化所全体で管理課が一一課まであるかな。

※ここでいう鍛錬隊は「労働鍛練刑」の判決を受けた者(以下で「鍛練生」と呼ばれる)が収容される管理課を指している。拘置施設としての労働鍛練隊は別組織。
シム:鍛練生では、女性と男性の比率はどうなってますか?
B:女性がずっと多いです。
(つづく)
整理:石丸次郎
<<<連載・第11回   記事一覧   連載・第13回>>>

 

★新着記事