平安南道で昨年12月に貼り出された布告文。外貨の使用を禁止する旨を明記し、それを違反する場合には死刑もあり得るという内容が記されている。関連記事リンク:「外貨使用で死刑まで・・・デノミ後の北朝鮮内部布告文公開」2010年1月 撮影:金東哲 (C)アジアプレス

平安南道で昨年12月に貼り出された布告文。外貨の使用を禁止する旨を明記し、それを違反する場合には死刑もあり得るという内容が記されている。関連記事リンク:「外貨使用で死刑まで・・・デノミ後の北朝鮮内部布告文公開」2010年1月 撮影:金東哲 (C)アジアプレス

 

「外貨使用禁止?ならドルは孫が使えばいい!」
問:貨幣交換によって北朝鮮全土をおおった経済難、生活苦の責任を取り、朴南基(パク・ナムギ、朝鮮労働党計画財政部長)が処刑されたと言われていますが。
答:国家も驚いたのですよ。国について来させようと貨幣交換を始めたのに、する前よりも人々が離れていくわけですから。それで慌てて誰かに責任を取らせることになり、(財政部長の)朴南基が生け贄になったというわけです。
でもですよ、金正日がこうなることを知らなかったはずがないでしょう。朴南基が一人でやった訳でもないでしょうし。それでも、「あの聡明な将軍様が、貨幣交換をはじめる前にはこうなると思わなかった」とは言えませんから。金正日からすれば、おそらく、貨幣交換措置は上手くいけば儲けもの、という程度の感じだったのでしょう。

問:なるほど
答:それでも人民たちはたいしたもので、国が「持っている外貨を出せ、使ったら死刑だ」という布告文をあちこちに貼り出しても、まったく涼しい顔ですから。「私が使えなくても、私の子どものためにとっておくし、子どもがだめなら孫のためにとっておくよ!」と言うんですよ。「アメリカが無くならない限り、ドルも無くならないだろうからね」ともね。

聞こえようによっては、いつか北朝鮮という国の生活が、どうにかして良くなるとでも言わんんばかりの表現でしょう? ですが...私はそうは思いません。いったい何をもって、北朝鮮の社会が豊かになるというのでしょうか?大体なぜ、北朝鮮の人々の暮らしは良くならないのですか?
李さんは北朝鮮の人々の想いを、熱を込めて代弁する。貨幣交換は党に頼らず自力で生きてきた人たちを、より一層党から離れさせる結果をもたらしたようだ。(つづく)(整理/李鎮洙)

(今回で終わるはずだった当初の編集予定を変えて、以後数回続きます)
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