解体工事が終わったのは2010年12月末である。

第三者として現地立ち入りをした東京労働安全衛生センター のアスベスト調査・分析の専門家・外山尚紀氏によれば、新宿区に同行した工事現場への立ち入りは計11回におよび、保育園敷地内でのアスベスト濃度測定は24日で計38回に達した。間違いなく、もっとも高頻度で実施した監視活動だろう。

その過程でも、さらにいくつものアスベストの見落としが見つかったという。

とはいえ、そうした監視活動により見落としが第三者によってチェックされ、アスベストの漏えいを未然に防止できたことは大きい。

アスベストセンターの永倉氏は「この工事では、近隣住民とNPO、行政もいっしょになってなんとか安全にしようと取り組んできた。最初からスムーズにいったわけでなく、さまざまな難関があったが、画期的な取り組みができて安全な工事に向 かうことができた」と評価する。
「守る会」櫻井さんは前述のシンポジウムでこう語っていた。

「言い出したらきりがないのですが、アスベストの説明は3回変わった。業者への信頼性、区への信頼性がすべて崩れてしまった。子どもたちの安全や安心を得るために必死になってやってきた。5カ月間の活動で学んだことは、届け出がされているからアスベストの除去が安心できるかというと安心できません。アスベストの除去業者を信用できるかというと信用できません。

よく1リットルあたり10本という規定を超えたら問題視されるんですけど、では10本までは飛ばしてもいいのかというとそうでない。ちょっとなら大丈夫なんじゃないかという間違った認識によってアスベストの被害者が増えていく。
住民と行政と解体業者の認識の低さがずさんな工事を生み、将来子どもたちに被害をおよぼす可能性が高めてしまう。行政も企業もアスベストに対する認識をもう一度変えてもらって、安全な工事は何かを考えていただきたい」

この2回で紹介した事例を通じて、どう「自衛」するかについては次回以降に明らかにしていく。
(つづく)
<<アスベスト(4)へ | 記事一覧 | アスベスト(6)へ>>

★新着記事