◆行政がNPOの参加を拒否
そして16日に新宿区が開催させた解体業者・阪本工営による保護者向けの説明会で事件が起こる。保護者にアスベストの専門知識がないため、アスベストセンターの永倉氏に出席してもらおうとしたところ、同区保育課と業者が「話が違う」と参加を拒否し、永倉氏に退席を求めたのだ。

説明会は保護者向けであり、永倉氏は保護者ではない、というのがその理由だ。

だが、説明を受ける保護者側がアスベストの専門知識を有する者として同席を求めている以上、それを拒むというのはおかしなことだ。専門知識を持たない素人にしか説明できないとでもいうのだろうか。区側が事業者に同席の了解を取っていなかったこともあるようだが、 それとて同席を拒む理由としては無理があろう。

永倉氏は退席を拒否し、同席を求める保護者と区側の押し問答の末、説明会への参加は許すが発言は認めないという異例の事態となった。しかも説明会では、またも新たに吹き付けアスベストが見つかったと報告があった。

保護者はこの説明会で解体工事協定を結ぶ約束を取り付け、工事は協定締結まで延期となった。

永倉氏によれば、16日の説明会における区側の出席拒否・発言拒否が事態を変えるきっかけになったという。

18日、アスベストセンターは新宿区による説明会参加拒否・発言拒否に抗議するとともに、「子どもたちの命と健康に留意すべき区行政の立場を、甚だしく逸脱した」として、公開質問状を中山弘子新宿区長に 提出した。このとき秘書課を直接訪れて事情を説明したところ、区側の対応にも変化がみられたという。

その後、区の保育課を所管する家庭部長から謝罪があり、改めて工事の危険性について話し合うことができた。

6月30日には公開質問状に回答があり、保育園側の推薦を受けた第三者が区の生活環境課による立ち入り検査に同行することを認めた。その結果、新宿区からNPO「東京労働安全衛生センター」が委託を受けるかたちで、区による立ち入り検査への同行やアスベスト濃度測定を実施することになった。
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