昨年改定された朝鮮労働党規約では、「朝鮮労働党は偉大な金日成同志と金正日同志の党である」という記述が登場した。また、この10月10日に新しく交付される党員証には、金日成氏の肖像画に加えて、新たに金正日氏の肖像画も掲載されることになった。

これは、先代の金正日氏がしたのと同様に、「唯一の後継者である金正恩氏のみが党組織を動かす」という体制作りを目指すものだろう。つまり、祖父・金日成に加えて父・金正日を神として奉り上げて、自分が唯一の「執事」として、巨大な「擬似宗教組織」のような労働党を牛耳らんということだ。

党員に対して懲罰をちらつかせているのは、労働党を「金日成-金正日の党」と再定義し、金正恩氏の三代世襲統治を担う中核集団の一員として党員を統制服従させることが目的である。

※先の6月から7月にかけて「党の唯一的領導体系確立の十大原則」という北朝鮮社会最高の「掟」が改定されたことも同様の目的であろう。

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ただし、ことは、そう簡単には運ばないだろう。現在も北朝鮮の経済状況は好転の兆しを見せていないため、今回の決定通りに、組織生活をおろそかにしている党員を全て懲罰するとなると、相当な人数が対象になる。党員同士も食べるため、お金のため互いに自分の身を守らなければならない。処罰は象徴的、見せしめ的な水準に留まるだろう。また、「出党措置」を免除してもらおうと、賄賂が飛び交う事態が横行するものと思われる。

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