8月3日、イラク北部シンジャルでイスラム国によって町を制圧され、山に追い込まれた5万のヤズディ教徒(ヤジディ教徒)住民。イラク軍もクルド兵ペシュメルガも撤退したなか、包囲下の山で衰弱死があいついだ。包囲から1週間後、クルド組織、人民防衛隊(YPG)はシリア側から突破口を開き、住民の一部を救出。シリアの拠点地域に送り、救護した数は2万におよぶ。その後、脱出路を通じて搬送が続いたが、イスラム国の前線を抜けるのは容易ではない。シンジャル山一帯はいまもイスラム国の包囲下におかれ、山では1万近くの住民が厳しい避難生活を送っていた。(取材:玉本英子)

第3回 ◆山に追われたヤズディ教徒~いまも続く包囲

8月3日、イスラム国はシンジャル山周辺地域を制圧。シンジャル山は土漠地帯に伸びる60キロにわたる長大な岩山で、川も木も少ない。真夏の50度を超える気温のなか、孤立した人びとは飢餓と脱水症状に直面する。写真の老人は、衰弱して力なく横たわっている。(8月、住民が携帯電話で撮影)

8月3日、イスラム国はシンジャル山周辺地域を制圧。シンジャル山は土漠地帯に伸びる60キロにわたる長大な岩山で、川も木も少ない。真夏の50度を超える気温のなか、孤立した人びとは飢餓と脱水症状に直面する。写真の老人は、衰弱して力なく横たわっている。(2014年8月、住民が携帯電話で撮影)

イスラム国に制圧され、陸路が閉ざされたなか、イラク政府軍が上空から輸送機で食料など救援物資を投下。だが、5万にのぼる住民すべてに行き渡ったわけではなかった。その後、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダが輸送機を派遣し、人道目的としてシンジャル山への物資投下作戦に加わった。食料や飲料水だけでなくテントなど生きるために必要な物資がシンジャル山に次々と投下された。病人や乳幼児の一部がイラク軍ヘリで救出されたものの、多くの住民は山に取り残された。写真は物資をシンジャル山に投下するイラク軍輸送機。(イラク国防省公表映像)

イスラム国に制圧され、陸路が閉ざされたなか、イラク政府軍が上空から輸送機で食料など救援物資を投下。だが、5万にのぼる住民すべてに行き渡ったわけではなかった。その後、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダが輸送機を派遣し、人道目的としてシンジャル山への物資投下作戦に加わった。食料や飲料水だけでなくテントなど生きるために必要な物資がシンジャル山に次々と投下された。病人や乳幼児の一部がイラク軍ヘリで救出されたものの、多くの住民は山に取り残された。写真は物資をシンジャル山に投下するイラク軍輸送機。(イラク国防省公表映像)

イスラム国による制圧から6日後、ヤズディ住民救出のため、人民防衛隊(YPG)がイスラム国の前線に突入。戦死者を出しながらも、一部を突破し、シンジャル山からシリアまでの住民の脱出路を確保した。その土漠地帯を抜け、シンジャル山を目指す。(9月、イラク・ニナワ県シンジャル近郊・玉本英子撮影)

イスラム国による制圧から6日後、ヤズディ住民救出のため、人民防衛隊(YPG)がイスラム国の前線に突入。戦死者を出しながらも、一部を突破し、シンジャル山からシリアまでの住民の脱出路を確保した。その土漠地帯を抜け、シンジャル山を目指す。(2014年9月、イラク・ニナワ県シンジャル近郊・玉本英子撮影)

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