◆地下活動家に聞く 支配区住民は日本をどう見ている?

武装組織イスラム国(IS)は支配地域で公開処刑を繰り返している。反対勢力や、独自解釈したイスラム法に背いた者が対象だ。敵対分 子、スパイ、強盗、同性愛者などとみなされた人を、町の広場で銃殺や斬首、投石によってあいついで処刑し、映像をネットで世界に公開している。イスラム国 が「首都」と称するラッカで、反イスラム国の情報発信を続ける地下活動家のアルラッカウィ氏は、公開処刑の現場に足を運び、その実態を目撃した。日本人人 質事件では、イスラム国は日本を「敵」とみなすと宣言。ラッカ市民はこのことを知っているのか、またそうならば、どう受けとめているのか。2月上旬アル ラッカウィ氏にインタビューした。【取材:玉本英子】

イラク・ニナワ県での公開処刑。罪状が読み上げられたあと、刑が執行される。男性2人が磔になっている。このあと、ピストルで頭を撃ち抜かれた。強盗罪とされるが、手足切断ではなく、磔の上の銃殺であり、おそらく強盗殺人など相当の重罪だと見られる。(IS映像)

イラク・ニナワ県での公開処刑。罪状が読み上げられたあと、刑が執行される。男性2人が磔になっている。このあと、ピストルで頭を撃ち抜かれた。強盗罪とされるが、手足切断ではなく、磔の上の銃殺であり、おそらく強盗殺人など相当の重罪だと見られる。(IS映像)

 

ラッカで2か月間で30人以上が処刑か

◆ISは処刑映像を頻繁に公開しています。実際に現場に行ったことはありますか? 週に一度、金曜日にやっていると聞きますが。

アルラッカウィ氏: 処刑を見たことはもちろんあります。ラッカでは金曜日と決まっているわけではなく、頻繁に行われています。ラッカ市内ではこの2か月だけで30人以上が処刑されました。

◆どういう理由で処刑されているのですか? 誰が処刑を決めるのですか?

アルラッカウィ氏:ラッカの裁判所が処刑を決めます。まず、イスラム国に反対する活動家は死 刑です。市内の写真やビデオを撮っていようものなら殺されます。イスラム国にとって否定的なものを外部に伝えるということは、彼らにとってダメージをもた らすことになるからです。もうひとつはイスラム国と戦っている相手です。自由シリア軍、ヌスラ戦線、アハラル・シャムなど、どんな組織であろうと、容赦な く処刑されます。あとは、ドラッグ(薬物)を取引したり、密輸したりすれば、これも処刑の対象となります。同性愛の場合も処刑ですが、その場合は高いビル の上から突き落として殺します。落としても、息があるようなら投石で殺します。既婚の女性、男性が姦淫をすれば、投石での処刑が行われています。

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