平壌の中心に位置するモラン市場。外国人旅行者の立ち入りは遮断されている。 2011年7月 撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

平壌の中心に位置するモラン市場。外国人旅行者の立ち入りは遮断されている。 2011年7月 撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

 

◇闇市で両替する外国駐在員たち

しかし、北朝鮮に長期滞在する外国人の場合は事情が違う。彼らは北朝鮮の「二重為替レート」の実情を知っているので、一時滞在する旅行者とは違い、 80倍の差がある「国定為替レート」で両替しようとはしない。外国人の平壌駐在員とその家族、頻繁に北朝鮮と行き来する中国人ビジネスマンらは、制約はも ちろんあるのだが、居住地域の周囲であれば移動も比較的自由で市場にも出入りする。直接、闇の両替屋、あるいは内国人専用の両替屋で両替し、朝鮮ウォンで 市場や内国人向け商店で品物を買うのだ。

平壌で生活したペク・チャンリョンも、このような現場をしばしば目撃していたが、外国人が市場で両替する主な場所は「ルンラ市場」と「統一通り市場」であった。

「統一通り市場」は、2010年当時までは平壌で一番大きい市場であったし、「ルンラ市場」は、一名「大使館村」と呼ばれる大同江区域の大使館が密集した地域と近かった事情と関係があると思われる。(続く)
※訂正とお詫び
6月5日に掲載した記事は、情報を提供してくれた中国人旅行者から「説明不足だった」として内容を訂正してほしい旨の連絡をいただきました。5日付の記事 中で「原則的に一切の現金使用を認めず、ナレカードでの両替を強要された」とありましたが、「外貨の現金は使用でき、カード決済は勧められたもの」とのこ とでした。また、平壌訪問の経験のある読者からも「ナレカード使用の強要はない」と指摘がありました。記事を訂正して再掲載いたします。また、訂正以外の 部分についてもより詳しい情報を若干加えて修正しました。責は情報の確認を十分にしなかった編集部にありました。読者の皆さんと情報提供者にお詫びいたし ます。(石丸次郎)

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