昨年6月のモスル制圧に続いて、８月には約100キロ西のシンジャルを攻撃。住民のほとんどはヤズディ教徒だった。クルド・ペシュメルガ部隊が撤退するなか、住民は置き去りにされた。十万を超える避難民がクルディスタンに向けて逃れたが、ＩＳは脱出者やイスラムへの改宗を受け入れなかった住民を捕らえては次々と虐殺。逃げ場を失った５万の住民は、写真後方にあるシンジャル山に向かったが包囲され、飢えや炎天下のなか死亡する者が続出した。町も村も奪われ、ヤズディ教徒が暮らしてきたコミュニティーは完全に破壊された。写真はＩＳが公開したヤズディ住民の虐殺。「アッラーを信じぬヤズディ教徒に審判を下す」と殺戮を正当化している。写真の一部はぼかしています。（ニナワ県・IS映像）
かつてシンジャル一帯に暮らしていたヤズディ住民。村の結婚式の日、集まった女性たちはみな着飾っていた。昨年、ＩＳの武装襲撃を受け、女性たちは集団で拉致され、シリア・ラッカやモスルに移送された。「奴隷」として戦闘員らに売られ、女児や少女に高い値段がつけられた。また、既婚女性も第二夫人などとして強制結婚させられている。「奴隷売買」とは「一夜だけの性の相手」も含めた女性の売り買いである。（ニナワ県シンジャル・2012年・玉本英子撮影）
ＩＳ地域にある歴史遺産の被害も深刻だ。モスルのあるニナワ県一帯は、メソポタミア文明が栄えた北部地域に位置し、数多くの遺跡や遺構がある。ＩＳは「多神教崇拝」等を理由に、こうした遺跡を次々と破壊している。モスル近郊にあるアッシリア帝国のニムルド遺跡は地区ごと爆弾を仕掛けられ、爆破された。（ニナワ県・IS映像）
