恐怖が支配、誰も異見を言えない

さて、いくら非合理な判断であっても、金正恩氏に対して誰も異見を述べられないのが現在の北朝鮮だ。張成沢氏をはじめ政権中枢の幹部多数が粛清処刑されたのは周知のとおり。

金正恩氏は「服従しない者は容赦しない」を無慈悲に実行してきた。昨年4月に現職の人民武力部長(国防大臣に該当)だった玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)が処刑されたという報道は記憶に新しい。権力中枢の幹部たちを覆っているのは恐怖の空気に違いない。

金正恩氏は、核実験に反対する中国に背を向けることで、中国に屈しない「強い民族指導者」を演じたかったのだろう。そんな独善を諌める者、非合理な判断を 修正できる者は、政権中枢に存在することができないに違いない。33歳の若い独裁者の衝動や感情が政策を左右する。それが現在の北朝鮮だ。金正恩政権が今 後どう動くか、予測は難しくなったと言わざるを得ない。(了)

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