配布されたダウンジャケットを着る避難民の少女。「軽くて暖かい」。(2月中旬イラク北部・ディバガ避難民キャンプで玉本撮影)

 

◆避難民に約8000着配布
イラク北部クルド自治区アルビルで活動する日本のNGO団体が、今月中旬までに日本の企業が提供した防寒ジャケットなど衣料品、約8000着を避難民に配布した。戦火と混乱のなか、着の身着のままで脱出し、厳しい冬のなかか過酷な生活を強いられている避難民には、日本への感謝の声がひろがっている。(イラク北部アルビル・玉本英子)

イラクやシリアからの避難民への支援を続けて#いるのは、日本のNGO、IVY(アイビー・本部・山形市)。これまでにアルビル現地で避難民児童のための学校建設や通学バス支援、生活物資の配布などを続けてきた。

今回、衣料品を提供したのは株式会社ユニクロで、約8000着を用意した。輸送費は日本の市民が寄付、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が一部負担し、在イラク日本大使館が協力した。衣料品はIVYを通じ、2月中旬までにすべてが避難民各世帯に配られた。ジャケットなど大人・子どもの防寒具が中心だ。

イラク軍は武装組織イスラム国(IS)に対する大規模掃討作戦を各地で展開している。これまでにIS支配地域やその近郊から15万人以上が脱出し、避難民となった。一部はクルド自治区のキャンプに身を寄せ、冬は氷点下近くになる日もあるなか、厳しい生活を強いられている。アルビル市内には中古品バザールがあり、安価な服も買えるが、避難民は経済的な余裕がないため移動もままならず、冬の衣料の支援が求められていた。
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