(参考写真)堂々と中国元で取引する露天商の女性。手に持っているのは1元の釣銭。 2013年10月両江道にて撮影「ミンドゥルレ」(アジアプレス)

◆監視カメラが15台

中国元は大切な個人の財産だ。没収された人はどう対応するのか? との質問に対し、この協力者は

「コネを使って取り戻すのだが、その場合も、中国元ではなく朝鮮ウォンに換算して返却される。コネがなければほとんど取り戻せない」と答えた。返却する際の交換レートは、実勢レートより悪いのだという。

公設市場には中国元の使用を監視するためのカメラも大量に設置された模様だ。この取材協力者によると
「恵山市場に15個も監視カメラが設置された。実際に稼動しているのは4~6個程度だそうだ。市場管理所の中からカメラで監視していて、(中国元使用を発見すると)出てきて取り締まる」という。

両江道の別の取材協力者に確認したところ、「市場での外貨使用の取締りが厳しくなり始めたのは8月末頃からだが、市場内に監視カメラを設置して没収まで始めたのはごく最近のこと」とのことだった。

北朝鮮当局が最近になって厳しい中国元の使用統制に乗り出した理由ははっきりしないが、中国による経済制裁の強化に備えた措置なのか注目される。

制裁によって外貨収入が大幅に減少するのは避けられず、国民から外貨を吸い上げることが目的なのかもしれない。なお、11月9日時点では、他地域の公設市場でも外貨使用に統制が強まっているのかは確認できていない。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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