開城工団で働く北朝鮮の労働者。2007年2月に撮影リ・シユ(アジアプレス)

 
◆高品質で富裕層に人気も高価

「工団製品」は、中国製品より価格が高いものの質が良く、富裕層によく売れているようだ。昨年11月末からは防寒用の冬服が大量に生産され国内市場で人気を博しているとして、別の取材協力者B氏は次のように伝えてきた。

「『工団製品』の冬服の値段は、中国元で300~400元(約5100~6800円)から、高価なものは100ドル以上する。中国製品の二倍近い値段だ。質とデザインが中国産より優れているからだ。ただ、包装は中国製品より悪い。中国製の冬服は普通の生地だが、『工団製品』は、『タルリ』(ゴムのように伸びる素材)を使用したり、100%羽毛を入れたりして価格が高い。開城工団内に残された韓国産の原材料を無断使用しているのかも知れない。 住民たちは、『工団製品』はすべて韓国産材料で作られていると認識しており、それで人気が高いのだ。しかし、開城工団の稼動自体が不法行為だということは知られていない」

◆開城の労働者は高賃金

別の取材協力者C氏は、開城工団内の労働者の賃金について調査して次のように伝えてきた。
「開城工団の事情に詳し流通業者に聞いたところ、現在の労賃は、縫製工が朝鮮通貨で一日16,000ウォン(約210円)、アイロン工は一日10,000ウォン(約130円)で、たくさん生産した労働者には成果給がプラスされ、一か月に50万ウォン(約6540円)ももらう労働者がいる。平均すると月に、中国のお金で200~350元(約3400~5950円)程度の収入だそうだ」

北朝鮮による開城工団での無断操業については、昨年10月に米国の自由アジア放送が報じて問題が発覚した。なお、韓国側からの送電は現在止まったままである。

※アジアプレスでは北朝鮮国内に中国携帯電話を投入して連絡を取り合っている。

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