◆もしアフリンが陥落すれば、次は自分たちの村がやられる

しかし、お金のためだけではありません。復讐です。ヌブル村と隣のザハラ村は2012年から自由シリア軍によっておよそ4年間にわたって包囲され、住民数百人が殺されました。彼らはシーア派を殲滅しようと、執拗な攻撃を加え続けたのです。私たちはそれを許すことはできません。村の民兵たちにとって、アフリンでの戦いはスンニ派過激組織への報復戦の意味もあると思います。

今回のアフリン入りですが、知らない場所へ来たというのとは違います。今の情勢とはまったく関係なく、地域的に昔からクルド人とは共存してきました。友人もいます。

現在、トルコ国境沿いのアフリンの村が次々に占領され、クルド組織が苦戦しています。今後、もしアフリンが陥落するようなことがあれば、次はその南にある私たちの村が再びターゲットにされる。だから今、銃を持ち故郷を守らなければならないのです。

アフリンではトルコ国境沿いの多くの村々がトルコ軍の支援を受けたシリア武装諸派によって次々と制圧されている。クルド・人民防衛隊(YPG)を支援する形でアサド政権派シーア派民兵がアフリン各所に展開。写真はアフリン市。(2月24日・地元住民・スワール氏撮影)。

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