脱北者を北朝鮮に送還するための拘置施設。暴動があった場所だ。吉林省の図們市で2009年6月撮影石丸次郎(アジアプスレス)

◆「強制送還阻止」叫び中国の拘置所で暴動も

しかし、収監生活が6ヵ月にもなると、死亡する可能性が高く、釈放されても栄養失調と酷使で身体はボロボロになるという。また、帰るべき家がすでになくなっていることも多い。さらに脱出を国家反逆の罪とみる社会であるため、当人はもちろん子供たちの将来にまで悪影響があることは想像に難くない。これは、北朝鮮での将来の暮らしに希望を失わせる。生きていくためにはまた中国に脱出しなければならなくなるのだ。

強制送還されるとこのような過酷な処罰を受けることを、北朝鮮難民たちは誰よりも知っている。中国で警察に逮捕されると、絶望のあまりに自殺を試みる人もいる。また、20004月には、送還のために図們市の辺防部隊の拘置所に収監されていた北朝鮮難民数十人が、「北朝鮮送還阻止」を叫んで暴動を起こしている。

難民たちは拘置所内の備品を破壊、辺防部隊員を人質にとって乱闘を繰り広げた。結局鎮圧のために大規模な応援部隊が投入され、全員が北朝鮮に送還されてしまった。(続く)

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