氷点下の寒空の下、闇市場で客を待つおばあさん。2000年1月清津市にて撮影キム・ホン(アジアプレス)

 

今から20年前の1990年代半ば、「苦難の行軍」と呼ばれる社会パニックが始まった。食糧配給制は崩壊し、短期間に餓死者が大量発生する事態に陥った。その数は200万人以上と推定される。

恐慌の中で立ち上がったのは女性たちだった。職場や学校を離脱し、厳しく禁じられていた闇商売に続々参入した。自家製の餅やパンを売り、闇米を運び、男に交じって肉体労働もこなした。

この時にできた闇市場が、現在、北朝鮮中に拡大した「総合市場」(ジャンマダン)の原型になった。金正日政権は、増え続ける闇市場を追認し、ついに合法化せざるを得なくなった。

家族を食べさせるために必死に働いた女性たちが、北朝鮮社会を大きく変えた。(石丸次郎)
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