◆情報流入を極度に警戒する金正恩政権

不純録画物を根絶せよ」。このような指示が金正恩氏から直々に頻繁に出されている。アジアプレスが入手した内部文書でも、視聴と流布を徹底取り締まりせよという金正恩氏の方針が記されていた。

任務を担当する「109常務」は無作為に住民宅を回り、「不純録画物」を見た疑いが少しでもあると、家全体を捜索することが茶飯事になっている。「死亡した男性の家からは、USBに保存された中国映画2本が見つかったそうだ」と協力者は言う。

「109常務」に対する住民の反発は強い。個人宅に不作法に踏み込むだけでなく、賄賂の要求が露骨だからだ。協力者は次のように言う。

知人が中国の映像を見ていたとして「109常務」に摘発されたが、『教化所(刑務所)に行くか、2000中国元(約3万円)を払うか選択せよ』と迫られていた

協力者によれば、新型コロナウイルス防疫のために中国国境を閉鎖した1月末以降、「109常務」の賄賂要求が露骨になったという。

国境封鎖で貿易が止まって経済が沈滞して、他の賄賂収入が激減したため、不法行為根絶を口実に専門的に金儲けするようになった。コロナ以前より取り締まりは数倍ひどくなった

協力者はこのように説明した。(カン・ジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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