◆混乱の中でスタートする5期目のオルテガ政権

2018年に大規模反政府活動が勃発して以降、政府の人権抑圧は露骨になった。政治的混乱から国外に避難する国民の数は10万人を超えたと伝えられる(ニカラグアの人口は約662万人)。

撤退する外資が増え、観光客が激減し、2017年まで4%代後半で推移していた経済成長率は、2018年に−3.36%を記録した。そこに2020年からのコロナ禍が直撃する。

2022年1月からダニエル・オルテガ大統領の5期目がスタートした。任期は5年。軍・警察を抑える彼の権力基盤は厚いとされるが、厳しい状況にいるニカラグアの人々は何を思い、どのような暮らしを送っているのか。現地報告を続ける。(文と写真 柴田大輔  続く

<ニカラグア写真報告>裏切られた革命(2)副大統領はオルテガ夫人のムリージョ…国民監視組織のトップ

 

<ニカラグア>
左翼ゲリラ・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を率いたオルテガ氏は1979年、ソモサ一族による独裁政権を倒し革命を成功させ、84年、大統領に初当選。90年の選挙で敗北するが、06年に大統領に復帰すると、14年、大統領の再選禁止規定を撤廃し、17年には夫人を副大統領にした。18年の反政府デモへの武力鎮圧では300人以上が死亡するなど、強権的な独裁政治が批判される。21年の大統領選で勝利し、4期連続5回目の大統領に就任した。

柴田大輔(しばた だいすけ)
フォトジャーナリスト、フリーランスとして活動。 1980年茨城県出身。2006年よりニカラグアなど、ラテンアメリカの取材をはじめる。コロンビアにおける紛争、麻薬、和平プロセスを継続取材。国内では茨城を拠点に、土地と人の関係、障害福祉等をテーマに取材している。

大統領選挙翌日、FLSNの集会終了後、支持者がオルテガ大統領を見送った。2021年11月、マナグア。

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