◆軍の配置先は賄賂で決まる

他方、子供を軍に入隊させる親にとって、一番の関心事は、どこの部隊に配置されるかだ。最大の理由は一般部隊の待遇の劣悪さだ。新兵が栄養失調になるのは北朝鮮では常識で、建設土木作業に従事する部隊では事故も多い。

「子供が待遇のいい部隊に配置されるよう望むのはどの親も一緒。でも『事業』をしなくてはそれも叶わない。つまり賄賂だ」

人気があるのは保衛省(秘密警察)、安全部(警察)、沿岸警備隊の部隊だという。以前は中国との国境警備隊が一番人気だった。密輸や中国越境に目をつぶることで沿線住民から賄賂を得られたからだ。しかし新型コロナウイルス防疫のために国境管理が厳しくなって、そんな利権は消滅した。

「必要な賄賂は、保衛省の部隊の場合は3000~5000中国元、安全省の部隊は2000元、沿岸警備隊は1500元程度が相場だ。軍事動員部の人間は、春の入隊期間が稼ぎ時なので競争するように依頼人を探している」 (100中国元は約1850円)

このように伝えてきた協力者にも二人の子供がいる。まもなくその進路で悩む時期が来る。

※アジアプレスでは中国の携帯電話話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

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