北朝鮮のコロナ対策は過剰。中国との国境の川・鴨緑江の川辺で防護服を着て堤防修復作業をしている。2020年10月に中国側から撮影アジアプレス

北朝鮮国営メディアは連日、発熱症状を見せる人が爆発的に増えていることを伝えている。だが新型コロナウイルスの侵襲を「国家最重大非常事件」と位置づけた国内の実態は、いっこうに見えてこない。アジアプレスでは、北部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡に住む取材協力者に14日、話を聞くことができた。(カン・ジウォン/石丸次郎

◆ロックダウンはまだない

茂山郡は中国との国境に位置する推定人口約10万の中都市で、北朝鮮最大の鉄鉱山がある。情報を伝えてきたB氏は鉱山関連の労働者だ。

 

――「有熱者」(発熱者)が急増しているというが、あなたが住んでいる茂山郡は都市封鎖されているのか?

B  封鎖はなくて、他の郡や市とは往来が一切できなくなった。茂山郡内でも区域を越えての移動はできない。

 

――外出はできるのか?

B  外出は可能だが、マスクは必ず着けなければならない。出勤もしているが、職場で集まって昼食を摂るのは禁じられている。人民班ごとに哨所(検問所)を作って、他所の人の訪問は許されない。

 

――発熱者が出たらどうするのか?

B  まずアパートを封鎖して、(発熱者の拡大に応じて)人民班→洞→区域の順に封鎖すると当局から説明があった。以前、恵山(ヘサン)市を全域封鎖して外出も禁止したとき、すべての活動が止まって飢えて死ぬ人まで出て大混乱したので、今回は細かく封鎖するのだそうだ。
※2020年11月、2021年1月に恵山市が封鎖されたときは、一切の外出が禁止、市場も閉鎖され、食糧や医薬品を入手できない人の中に落命する人が出た。

 

――市場は開いているか?

B  市場は通常通り運営している。ただ、当局からコロナ感染が増えたら閉鎖もありうるという通告があった。

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