(参考写真)農村に動員され草取りをさせられている女性たち。2013年6月、北部地域で撮影アジアプレス

◆動員者は空腹で盗みも

さて、今大きな問題になっているのは、動員者たちによる収穫物の盗みや横流しだ。市内の住民は皆暮らしが大変厳しく、動員で農村に出たのを幸いと、泥棒や横領する者が続出しているという。

取材協力者によれば、動員者の食糧の70%は人民委員会が食糧配給券を出して保障し、残りの30%は動員者を受け入れる協同農場が受け持つことになった。だが農場ではまともに食事を出せていないという。協力者は次のように述べる。

「9月中旬に、三池淵郡のある農場に動員された労働者4人が、掘ったジャガイモをくすねて山に入って焼いて食べたことがばれて、4人全員に3カ月の無報酬労働の罰が科される事件があった。三池渕の動員に行って来た人に聞くと、『昨年の農村動員では、間食としてジャガイモを茹でて出すこともあったのに、今年は農場が何も食べ物をくれずに仕事ばかりさせて、まるで農村監獄のようだった 』と、反発していた。動員者の不満は強い」

◆収穫物持ち出しにピリピリ、ジャガイモ1個でも処罰

当局は、収穫期の今、農村から食糧が流出しないよう敏感になっている。軍や統制機関、軍需工場労働者などの優先配給対象に渡す「国家保有食糧」の目減りを強く警戒しているのだ。

そのため、今年は動員作業を終えた人が農村を離れる際、農場の担当者が持ち物検査を実施している。少しでも荷物があれば、必ず検査を受けねばならず、動員者たちから抗議や不満の声が上がっているという。

「ジャガイモ1個であっても、持ち物検査で食糧が見つかれば10倍を動員者の所属組織に弁償させるという厳しいやり方だ。それだけではなく、持ち出そうとした者には6カ月以上の無報酬労働を科すと脅している」

と協力者は言う。(続く 2へ

※アジアプレスでは中国携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図(製作アジアプレス)

 

<北朝鮮内部>農業はどうなっているのか?(2) 畑に轟く銃声…農村に異例の軍部隊配置し収穫物防衛 なぜ?

 

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