(参考写真)2012年の市場の様子。中国製の既製服売り場で客に商品を勧める女性。現在では市場に中国製品はとても少なくなった。平安南道スンチョン市にて撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

◆あらゆる消費物資に新国定価格

北朝鮮政府が、2月の上旬頃から国営商店と糧穀販売所(食糧専売店)などで販売される国産の消費物資に、「国家唯一価格」と呼ばれる新たな国定価格を設定し施行し始めたことが分かった。(石丸次郎/カン・ジウォン)

北朝鮮の北部地域に住む複数の取材協力者が伝えてきたところによると、国産品に限って品目ごとの販売価格を細かく定められ、国営商店には200ページ程度の価格表の冊子が配布されたという。協力者は次のように説明する。

「国営商店で販売されている歯ブラシ、歯磨き粉、靴、醤油、塩、食糧など、すべての国産品の値段が昔の国定価格のよう定められた。ただし、価格は変動があり得るそうだ。市場の取引価格まで今後は国が決めようとしているのではないかと、商売人は皆、戦々恐々としている」

◆国産優先して中国製品の駆逐狙う

北朝鮮の市場では、2019年頃まで衣料品、靴、雑貨などほとんどの一般消費物資は中国産に席巻されていた。しかし、金正恩政権の国内生産優先策と、パンデミック期の鎖国政策で中国からの消費物資の輸入が激減した。政権は国産品を、国営商店を通じて販売するよう強力な流通統制策を採っており、今回の「国家唯一価格制」の導入もその一環だと考えられる。

国産品の流通の現状について、取材協力者の1人は次のように説明する。

「国産品はどれも中国製よりは低質だが、まあまあの水準。ただ国営商店にいつも物があるわけではなく、入荷した時だけしか売っていない。市場は統制が厳しくなって扱う商品が減ってしまい、人々は徐々に国営商店を利用するようになった。ただ、国営商店は定価販売なので、値引き交渉も物々交換もできないし、後払いやツケもきかないので不便だ」
 (石丸次郎/カンジウォン)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮国内に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

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