高市首相は今年4月2日の衆議院本会議で、国家情報会議・国家情報局が設置されることによって、「国民のプライバシーを無用に侵害することはない」と述べた。また5月8日の参議院本会議では、個人情報やプライバシーを「無用に侵害するような情報収集や提供が行われないための方策を検討する」とも答弁した。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆高市首相の含みを持たせた言い回し

「国民のプライバシーを無用に侵害することはない」のならば、これから検討するなど先送りの対応ではなく、法案を修正して条文に必要な規定を加えればよかったではないか。

ただ、高市首相はあくまでも「無用に侵害することはない」と述べているだけで、「侵害しない」と明言したわけではない。無用ではなく有用、つまり当局の判断で必要となれば情報収集することもあり得るという、やはり含みを持たせた言い回しをここでもしている。

イラク戦争が始まる直前の東京市ヶ谷の防衛庁(現防衛省)、自衛隊の情報保全隊の本部が置かれる(2003年3月撮影)

本連載(3)で述べた、陸上自衛隊情報保全隊(現自衛隊情報保全隊)が、2003年から04年にかけて、自衛隊イラク派遣反対のデモや集会などに参加した市民たちの個人情報を収集していた事件でも、情報保全隊が有用、必要と判断して情報収集をしていたわけだ。

このような活動について政府が謝罪も反省もしていない以上、法律上の歯止めがなければ、各情報・諜報機関当局の判断次第で個人情報の収集は続くとみられる。

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