岐阜県大垣市での巨大風力発電施設の建設計画に反対していた地元住民2人と、発電施設問題とは無関係で脱原発運動や平和運動に関わっていた大垣市民2人の動静を、岐阜県警大垣警察署警備課すなわち公安警察が密かに探り、個人情報を収集して、同計画を進める企業に提供、情報交換・意見交換をしていた。これが問題の「大垣警察市民監視事件」である。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆住民運動への偏見を煽る公安警察

この事件は、「スパイ防止法」とその関連法制である国家情報会議設置法、外国代理人登録法などが制定されたら、公権力による市民監視・情報収集がいかにプライバシー侵害、人権侵害をもたらすか、その危険性を先行的に示すものだ。
本連載(6)で述べたように、公安警察は風力発電施設の建設計画を進める中部電力子会社シーテック社と、2013年8月7日、14年3月4日、14年5月26日、14年6月30日の計4回、大垣警察署内で情報交換・意見交換をおこなった。「議事録」はシーテック社が作成、保管していた。その内容は後に『朝日新聞』のスクープなどで明らかになった。
その第3回「議事録」では、風力発電施設の建設予定地に近い上鍛冶屋地区から、「風力発電中止の嘆願書が大垣市長あてに出された」との新聞報道に、シーテック社側が言及したうえで、「元来、過激な運動を起こす可能性のある上鍛治屋地区であり、今回のような行動を危惧し大垣警察署警備課との話し合いの場を設けている」と、公安警察との情報交換・意見交換の目的があけすけに記されている。
大垣警察署警備課とシーテック社の情報交換・意見交換の第3回「議事録」(「もの言う」自由を守る会HPより)
当時、上鍛治屋地区の自治会長は、風力発電施設に反対する三輪唯夫さんで、公安警察の監視・情報収集の対象にされ、一方的に問題人物視されていた。その公安警察側から吹き込まれた情報により、シーテック社側が上鍛治屋地区の反対派住民に対して、「元来、過激な運動を起こす可能性のある」と危険視するレッテル張りをしていたことがうかがえる。市長に「風力発電中止の嘆願書」を出すことの、いったいどこが「過激な運動」だというのだろうか。
シーテック社側は、「(株)シーテック本店および中部電力(株)本店に『南伊吹風力発電事業中止』を求める『要望書』」が、上鍛治屋地区から届いたことも、公安警察側に報告した。すると公安警察側は、「今回の行動は、来年の統一地方選挙に向けて動き出した気配がある。共産党の株を少しでも上げることに利用したいのではと思う」と、単なる憶測でシーテック社側の反対派住民に対する偏見の度合いを強めるような、バイアス(偏見、意図的な誇張)のかかった意見を伝えている。
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