◆事実関係に口をつぐむ警察側
このように原告側は岐阜地裁での審理において、公安警察の市民監視・情報収集は、プライバシーや表現の自由などを侵害する違法・違憲の行為だと主張した。
一方、被告である岐阜県(警察)側は、大垣署の警察官がシーテック社員と面会していたことは認めたが、それ以外の事実関係についてはまったく認否をしなかった。情報収集の目的や態様など具体的な点にも言及しなかった。
そのうえで、警察法第2条1項中の「〔警察は〕公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする」にもとづき、情報収集と情報の保有は適法であるとだけ主張した。

この主張と、警察法第2条2項の「〔警察は〕その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」という規定の間には、大きな矛盾がある。
市民監視・情報収集は「日本国憲法の保障する個人の権利及び自由」への干渉にあたる「権限の濫用」にほかならないが、この点に関する説明もなされずじまいだった。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。























