岐阜県警大垣署の公安警察によって監視・情報収集された当事者4人が、原告となり岐阜県を相手取って起こした「大垣警察市民監視違憲訴訟」。岐阜地裁での判決は2022年2月21日に言い渡された。(吉田敏浩/写真はすべて筆者撮影)

◆監視・情報収集はプライバシーと表現の自由を侵害

地裁判決は、警察が収集した個人情報の企業への提供は、プライバシー侵害で違法だとして、原告1人あたり55万円の賠償を命じた。原告と支援者が結成した市民団体「『もの言う』自由を守る会」が発行した『大垣警察市民監視違憲訴訟・資料集』(2022年)によると、同判決は次のように判示した。

「何人も、個人に関する情報を第三者にみだりに提供されない自由を有する」ので、「このような利益又は権利は、人格権〔憲法第13条〕の一つであるプライバシー」として「法的保護に値する」ものだ。そして、「思想信条に関連する情報は、個人に思想良心の自由が保障されていること(憲法第19条)を考慮すれば,プライバシーに関する情報の中でも要保護性が高いもの」であり、市民運動への関わりなどの情報は(本人が外部発信している情報であっても)プライバシーに関する情報の中でも要保護性が高い。

しかし地裁判決は、警察による情報収集の違法性は認めず、個人情報の抹消の請求も退けた。
原告側はただちに名古屋高裁に控訴した。

2024年9月13日に言い渡された高裁判決は、公安警察による情報収集と情報提供がプライバシーと表現の自由などを侵害している違法・違憲性を認め、原告1人あたり110万円の賠償を命じた。個人情報の抹消の請求も認め、岐阜県に情報の抹消を命じた。初めて裁判所が公安警察による個人情報の収集活動を違法と判断した、画期的な原告勝訴判決だった。その後、同年10月2日に岐阜県は上告を断念し、名古屋高裁判決(長谷川恭弘裁判長)は確定した。

「大垣警察市民監視違憲訴訟」の原告・支援者らが結成した市民団体、「もの言う」自由を守る会「ニュース32号」の名古屋高裁勝訴判決を報じる表紙(同会HPより)

高裁判決は、人格権の根拠となる憲法第13条(幸福追求権)が「個人情報をみだりに収集・保有されない自由も保障」しており、「原告らの活動は平和的だった」として、警察の情報収集は「集会や結社、表現の自由などを保障した憲法21条にも反する」と判断し、その違法性も認めた(『朝日新聞』2024年9月14日朝刊)。

さらに判決は警察による恣意的な情報収集活動について、「法律の規制もなく、監督する第三者機関もない」と言及したうえで、「警察内部の自浄作用が全く機能していない」と断じた。情報の抹消については、「今後提供される恐れがある」として、抹消を県に命じた(同前)。

原告の一人である大垣市の住職松島勢至さん(72)は、「地域の問題について意見をいう、当たり前のことが、警察から危険視される世の中ではいけない。命を守る運動がやっと認められた。うれしい」と語った(同前)。

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