東京メトロは10月23日、半蔵門駅で8月にアスベスト(石綿)が降り注いだ問題を受けて、同じ継ぎ手が使われた設備を緊急点検し、「破損し巻き込まれた」ものはなかったと発表した。(井部正之)

緊急点検の結果や専門家会議についての東京メトロの発表

◆石綿素材の「破損」は存在

地下鉄半蔵門駅では8月9日、3カ月以上前から破損しぶら下がっていたにもかかわらず放置されていた石綿を高濃度に含むと見られる布地が給気設備のファンに巻き込まれ、粉々になって利用者の頭上から降り注ぐ石綿飛散事故が起きた。

同社はこの事故を受けて、地下鉄駅構内の同種設備約2600カ所を緊急点検し、10月23日に「布地が破損し巻き込まれているような事象は発見されませんでした」と発表した。

ただし発表では、破損が1カ所もなかったのかまで記載されていない。

問い合わせたところ、29日に同社は「複数個所で小さな穴等は確認されましたが、半蔵門駅で確認されたような、布地が破損し設備内に巻き込まれている事象は確認されませんでした」(広報部)と回答した。

どのくらいの大きさかは不明ながら、「小さな穴」も破損である。つまり、少なくとも複数の破損があったことになる。破損数も尋ねたが、説明はなかった。確認しそびれたが、本来なら劣化状況なども公表すべき内容のはずだ。

◆専門家会議を非公開で開催へ

また同社は「アスベストの飛散状況、健康への影響等の調査」について、専門家会議を設立し、初会合を10月30日に開催すると併せて発表した。

ただし発表には同社の管理が適切だったかの検証が抜けている。同社に問い合わせたところ、28日、「同様事象の再発防止に向け、適切な管理の在り方についても検討する予定です」(同)と説明した。

今後について発表では、「専門家の見解を踏まえながら調査・検証を進めてまいりますが、結果の取りまとめには今しばらく時間を要する見込みです」と述べるにとどまる。

少なくとも、これだけの飛散事故である以上、公開で実施すべきではないか。ところが、そもそも同社は委員構成も発表で公表していないうえ、会議の傍聴が可能か、資料や議事録を公表するかどうかも明らかにしていない。

筆者は会議の取材を申し込んだが、非公開と拒否された。資料や議事録の公開は、「現在検討中であり、今後専門家の皆様と協議の上、決定いたします」(同)との回答だった。

透明性の確保のためには、報告書だけでなく、せめて会議資料や議事録などが公開されることが必要ではないか。同社は事案の重大性に鑑み、情報の開示に踏み切るべきだ。

なお、同社が明かした委員構成は以下である。

<委員構成>

 ※座長は10月30日会合で決定
・村山武彦氏  埼玉大学 社会変革研究センター 客員教授
・外山尚紀氏  (一社)建築物石綿含有建材調査者協会 副代表理事
・森本康夫氏  西日本産業衛生会 北九州産業衛生診療所 所長
・小西淑人氏  (一社)日本繊維状物質研究協会 専務理事
・寺園淳氏 国立環境研究所 企画部 フェロー
・亀元宏宣氏 (一社)日本石綿対策技術協会 事務局長
・斉藤実俊氏 元鉄道総合技術研究所 環境工学研究部長

【関連写真】アスベストを高濃度に含む可能性があり「石綿布」とみられる破損箇所など

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