アスベスト(石綿)被害の救済や予防に取り組む6団体が、東京高裁や地裁などが入る合同庁舎の改修をめぐり説明会の開催を求めたが最高裁が拒否していた。国のガイドライン違反として改めて団体側は要望している。(井部正之)

◆説明会「予定なし」と拒否
あまり知られていないことだが、裁判所では石綿が飛散し、建物利用者らに吸わせた可能性のある事故が何度も起きている。たとえば、2015年12月には東京高裁や地裁、簡裁が入る合同庁舎でダクトシャフトの石綿除去作業中に外部に漏えいしたとみられる事故が発生し、4~8階の法廷が閉鎖された。
当初空気1リットルあたり7.5本の石綿を含む可能性のある「総繊維」を検出。最高裁は石綿の有無を調べさせ、「石綿飛散はなかった」と表明。ところが実際には、精度が悪く石綿濃度を10~100分の1に減らすとして環境省がマニュアルから削除した分析法を採用していた。
筆者がそのことを指摘したところ、事故から6日後にマニュアルに定める測定・分析法で再測定し、空気1リットルあたり2.1本の石綿を検出。石綿飛散が裏付けられた。
2018年1月には、エレベーターシャフト内の空気から1リットルあたり最大で15.1本の石綿を検出し、非常用エレベーター1基を除いてすべての来庁者用エレベーターを停止する事態になった。
東京高裁や地裁の建物だけではない。2018年10月には最高裁の大法廷で石綿飛散が発覚。「法の日」イベントが中止された。2022年5月には大阪高裁や地裁、簡裁が入る合同庁舎で石綿疑いの「白い粉」が発見された。ところが最高裁事務総局は、実際には分析できなかったにもかかわらず石綿不検出と虚偽発表して安全宣言した。
こうしたなかで計画されたのが東京高裁や地裁などが入る合同庁舎の大規模改修だ。すでに2023年度に着手済みで、約10年にわたって断続的に石綿除去工事が続くという。
要望を出したのは、被害者支援や被害予防に取り組むNPO、中皮腫・じん肺・アスベストセンターや、被害者の代理人として国や建材メーカーとの訴訟を数多く手がける首都圏建設アスベスト訴訟東京弁護団、アスベスト訴訟関東弁護団など6団体。
裁判所を利用する当事者でもある6団体は5月20日、最高裁事務総局に対し、「2018年の事故後においても、また、今回予定されている改修工事についても、環境省のガイドラインが求めている説明会が開催されたとの情報には接していません。また、それ以外の方法も含めて、アスベスト除去工事の詳細は全く知らされていません」として、職員や建物利用者に対する説明会開催やその十分な告知などを要望した。
また説明会において、「過去の裁判所におけるアスベスト飛散事故の原因と課題、それらを踏まえた対策についても説明すること」や資料や議事録などの裁判所ウェブサイトへの掲載なども求めた。
ところが最高裁事務総局は6月17日、同ガイドラインを「参考に」、「工事の進捗に応じて関係機関に説明」しており、来庁者には「工事中は」法に則り「掲示を行っております」などと回答。同ガイドラインには、チラシの配布・回覧等の方法も挙げられているとして、施工中は玄関ホールにお知らせ文書も「掲示しておりました」と主張。説明会の開催については「予定しておりません」と拒否した。























