それに、カラオケボックスや飲み屋なんかの店がいろいろあってこそ食堂も発展するのに、朝鮮では金持ちであってもカラオケにも行けないし、(娯楽)公演にしたってろくなものがない。映画館も営業時間が短いし、とにかく遊ぶところがない。
このように、金を持っている連中も金の使い道がないから、金持ちは外国に遊びに行ったり、そのまま逃げたりするんだ。金さえあれば、闇ルートを通じて、外国で暮らすなど簡単なことだ。

だが、そんなことすれば反逆者のレッテルを貼られて、たちまち「三代滅族(三親等にわたる親族を全員政治犯に仕立てること)」なんていう馬鹿げた刑罰が身内に及ぶ。こんなことをしているから国がおかしくなってしまうんだ。つまり、金のある人、商売に長けた人の親族を根こそぎ絶やしてしまおうとするのだから、そんな国に誰が戻ってくるか。国家もひとつの生命体なのに、そんなことやってるから経済がズタズタになってしまうのだ。
(つづく)

注1 朝鮮では、国のトップのことを大統領制でもないのに大統領と言い表すことが多い。金正日のこともしばしばユーモラスに「我が国の大統領は...」という言い方をする。
注2 法的には、民間・個人経営の企業は全く認められていないが、現実には、衣料加工や教育、流通などの分野で、闇で個人事業が運営されている。個人が個人を雇う「私的雇用」も現実には出現している。
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