貧富の差
Q:ギョンヒさんは国に不満が多いようだね。不公平なのが嫌なんだね。
A:はい。朝鮮のことわざに、金持ちもいれば貧乏人にもいるのが世の中、というのがありますが、朝鮮には貧しい人があまりにも多いんです。朝鮮でいい暮らしをしているのはまず幹部で、次に日本や中国に親戚がいる人。親戚の助けがあればいい暮らしができるんです。

うちの母は農作業をして家で豚を飼っています。でも一向に生活は楽になりません。けれども母の学校の同窓生たちの中には、幹部であるご主人のおかげで金持ちになった人もいます。朝鮮ではお金がなければ身動きが取れないから、本当に納得がいきません。腹が立ちます。

Q:ギョンヒさんはいつからこんな不満を感じ始めたの?
A:学校を卒業して一年間、就職せずに家にいました。たまに市内に出ると、同級生だった友達が素敵な流行りの服を着ているのを見ました。
お金がある家の子はそうやっていい生活しているけれど、私のように親にお金のない子は、服も買えないし、お金も自分で稼がないといけない。

でも、稼ぎたくても元手がないからできない。 金が金を儲ける世の中なんです。
友達はあんなに綺麗な服を着てるのに、どうして私はこんなみすぼらしい服ばかりなのかと、母に文句を言ったことは一度や二度ではありません。

Q:お母さんは何と言ったの?
A:自分の娘に良くしてやれないと罪悪感を感じて泣くんです。でも、うちには父がいなかったから、家では母が世帯主の代わりで、自分の道は自分で開拓しなさいと、自立性を育ててくれました。
私を一八歳まで育ててくれたのに、私が中国に来てしまって、母はどんなに苦しんでいるだろう......。
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