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炭と肉が焼ける匂いにつられて、ナミビアのウサコスという小さな町の雑貨店に立ち寄った。自家製のソーセージを焼いたものをコッペパンに挟んだだけのごくシンプルなホットドックが、店頭で作りながら売られていた。早速ひとかじりすると、文句なしの味。店主は私の顔を見て満足そうにうなずき、中でゆっくり食べなさいと、店内に招き入れてくれた。

様々な食糧品が並べられた奥が調理場となっていて、食糧品だけでなく、サンドイッチや惣菜なども売られている。店内のプラスチックのいすに腰掛けて続きを頬張っていると、店主が話しかけてきた。どうやら、ご自慢のこの店を私に紹介したかったようだった。

この店の味を誇りながら紹介された調理場では、数人の女性が笑いながら手を動かし続けていた。続いて、中庭を抜けて隣の建物へ。吹き抜けの店内にはU字型のバーカウンターがひとつ。カウンター担当の若い男性が、飲み物の入ったビンを整理していた。こちらは夜のみ営業とのこと。調理場の女性たちもバーの男性も、とても穏やかな表情。

小さな内覧会がひとしきり終わったところで、この店を開いてからどれくらい経つのかをたずねると、まだ開いたばかりとのこと。この町に引っ越してきて、この建物を買って、この店を開いて。ひとつひとつに満足している様子が伝わってくる説明が続いた後、ふた呼吸くらいしてから、文脈が大きく変わった。

「アパルトヘイトって、知ってるよな」
念願がかなったこの店だが、黒人と一緒に仕事をすることがずっと不安だった。アパルトヘイトがあったころは、こんなふうに白人と黒人が同じ店の中で一緒に働くことなんて考えられなかった。しかし実際、やってみたらなんてことはなかった。当たり前のことが、ずっと、わからなかった。
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