北朝鮮に対する国際社会からの援助は減少の一途をたどっている。WFP(国連食糧計画)によれば、同機関が2012年上半期まで北朝鮮で行う食糧支援およびインフラ建設プログラムの予算も、9600万ドル中19%しか集まっていないという。写真は2008年、平壌郊外の江東(カンドン)郡で、米国から支援されたトウモロコシを運ぶ「糧政事業所」の職員たち。2008年9月 撮影 張正吉(チャン・ジョンギル)(アジアプレス)

同じく2008年、米国から届いた支援物資。米国の国旗が見える。2008年9月 撮影 張正吉(チャン・ジョンギル)(アジアプレス)

 

今年に入り物価が50%も上昇するなど、北朝鮮経済は混乱の度を深めており、4月までに食糧と肥料の導入ができないと、社会秩序の乱れや人民の不満が高まる可能性がある。また、軍や警察、情報機関、軍需産業など、金正日体制を支える基幹組織を維持することにも支障が出るだろう。

さらに、金正日総書記にとって最優先事項である金正恩氏への世襲後継作業にも悪影響がおよぶという危機感が、北朝鮮指導部にあると思われる。
韓国政府が対話の条件として掲げる「天安艦沈没と砲撃事件への謝罪」に金正日政権がどのように応じるか。これが金正日政権の危機感の度合いを測る物差しとなるだろう。
(石丸次郎)

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