銃の手入れをする訓練中の人民軍兵士。咸鏡北道茂山(ムサン)郡。2004年8月中国側から石丸次郎撮影(アジアプレス)

銃の手入れをする訓練中の人民軍兵士。咸鏡北道茂山(ムサン)郡。2004年8月中国側から石丸次郎撮影(アジアプレス)

さらにこの取材協力者は
「4月25日の人民軍創建記念日を前に、各世帯に軍部隊に食糧を供出するよう割り当てが指示された。一世帯当たりトウモロコシ300グラムに加え、準備できる者はおかずも持って部隊を慰問せよという。慰問先は茂山郡にある11の国境警備隊の詰め所だ。そうでなくても強盗のような軍隊に、なぜなけなしの食糧をやらなきゃいけないのかと、住民の不満が高まっている」
と語った。

今年に入り、北朝鮮では軍隊の食糧不足が顕在化しており、末端の兵士の間に栄養失調になる者が増えると同時に、当局による住民への食糧供出の要求が強まっていることが、各地の取材パートナーたちから伝えられている。一月にも全国的な軍糧米供出指示があったばかりだ。

こうした背景には、軍に配給するための十分な食糧を確保できないほど金正日政権の財政事情が悪化していることがある。そのため国民が保有する食糧を強制的に供出させて軍隊の不足食糧を補おうとしていると思われる。
アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に送り取材している。
(中国延吉=パク・ヨンミン)

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