膠着状態を一歩進めたのが、2009年10月に中朝友誼(修交)60周年を記念し行われた、温家宝首相の訪朝だった。この席で、中国と北朝鮮のあいだに「新鴨緑江大橋」の建設が合意されたと、中国メディアが報道した。

その後すぐに着工とはならなかったものの、2010年2月には朝中両国のあいだで「新鴨緑江大橋の共同建設と管理および保護に関する協定」が結ばれるなど、少しずつ準備は進められていたようだ。そして2010年12月31日、丹東市において、北朝鮮関係者の参席のもと、着工式が行われたのだった。

2011年5月現在、現場では、建築資材を運ぶための施設の建設が進んでいた。中国屈指の建設会社である中交第二航局の旗がたなびき、それほど多くの作業員は見えなかったものの、工事は着々と進んでいる印象だった。タクシーの運転手をはじめ、地元の人はみな、新たな橋の建設が始まったことを知っており、わざわざ車を降りて見物していく人もいた。同じ国境でも、豆満江沿いで感じる緊迫感は無く、のどかな風景だった。

川に橋のようにせり出した建造物は、作業船に資材を積み出すための埠頭(停泊地)の役割を果たすものと思われる。2011年5月 アジアプレス取材班撮影 (C)アジアプレス

川に橋のようにせり出した建造物は、作業船に資材を積み出すための埠頭(停泊地)の役割を果たすものと思われる。2011年5月 アジアプレス取材班撮影 (C)アジアプレス

北朝鮮側からも作業船が出て、工事を行っていた。2011年5月 アジアプレス取材班撮影 (C)アジアプレス

北朝鮮側からも作業船が出て、工事を行っていた。2011年5月 アジアプレス取材班撮影 (C)アジアプレス

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