「新鴨緑江大橋」について、その具体的な内容について明らかになっている部分は少ない。2010年3月、趙連生丹東市長は中国メディアに対し「橋の長さは6キロ、幅は33メートル」であり、「総工費17億中国元(約212億円)を、中国側が負担する」とし、また、完工には三年を要するとも語っている(※1)。また、中国の一部メディアによれば、新橋がまかなえる交通量は、現在の10倍に及ぶといわれている。

それでは今後の見通しはどうだろうか。筆者は、着工した以上これまでの遅々とした進捗と違い、中国が引っ張るような形で、ひとまずは橋の完成に向け進んでいくものと見る。

一方で、新橋によってもたらされるものは何かについても考えずにはいられない。完成に伴い可能になるという、これまでの10倍もの交易量が、今の北朝鮮社会に必要かといえばそうではないだろう。ジャンマダン(市場)に行けば中国製の生活用品、工業品が立ち並び、現金さえあれば購入するに不足はない。しかし、北朝鮮の人々が豊かになり、高い購買力を持つようになるならば話は別で、はるかにたくさんの品物が売れることになるだろう。

そうなるためには、北朝鮮の改革・開放は不可欠となる。そう考えると、この新たな橋は、金正日政権の閉塞性、前近代性に頭を悩ます中国からの無言の圧力として作用する可能性が十分ある。「新鴨緑江大橋」は、開かれ安定した、新たな北朝鮮社会に架かる希望の橋となり得るだろうか。
※1 CHINA DAILY(中国日報)2010年3月8日付け記事「Another bridge to link DPRK」参照。http://www.chinadaily.com.cn/usa/2010-03/08/content_11016604.htm
(李鎮洙)

おすすめ<北朝鮮> 写真特集・無料動画… 

★新着記事