東日本大震災から8カ月。宮城県石巻市と仙台市の東北朝鮮初中級学校を訪ねた。
大阪市生野区の焼肉亭「高橋」の女将で、「新聞うずみ火」の読者でもある高貞子(コ・ジャンジャ)さんのお誘い。
高さんが10月に開いた東日本大震災応援チャリティーコンサートの収益金を届ける1泊3日のツアーに参加した。
矢野宏(新聞うずみ火)

<宮城県石巻市・鎮魂祭>

高さんは童話作家、詩人、韓国伝統茶房「タルマジ」代表と多彩な顔を持つ。一行は、高さんのほか、在日3世のチャンゴ奏者や小学校教諭ら6人。11月12日午後7時、「高橋」前を出発したバスは北陸道経由で福島県へ入り、さらに東北道を北上して翌朝、石巻市に到着した。

◆お寺を避難所に
全市町村で最多の5800人の死者・行方不明者を出した石巻市。なかでも被害の大きかった地域のひとつ中瀬地区で、曹洞宗寺院の洞源院による鎮魂祭が行われた。

石巻市中瀬地区で営まれた鎮魂際

 

避難者が水汲みや食料の買い出し、掃除や洗濯など、それぞれ役割分担して支え合った。
全国から救援物資が寄せられるようになり、命をつないだという。歌手の新井英一(新井英一ウェブサイト)さんも支援者の一人。新井さんが「タルマジ」で毎年、ライブを行っている関係から、高さんも洞源院のことを知り、チャリティーコンサートの支援金を持参した。
住職らの読経が流れる中、参列者が次々に焼香し、海に向かって手を合わせる。その一人、阿部源太郎さん(69)は津波で妻フミ子さん(享年68)を亡くした。
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