北朝鮮随一のアニメーション映画製作所「4.26児童映画撮影所」の仕事場。最先端設備を備えているという。(画報「灯台」337号[2010年3月発行]より)
北朝鮮随一のアニメーション映画製作所「4.26児童映画撮影所」の仕事場。最先端設備を備えているという。(画報「灯台」337号[2010年3月発行]より)

II 拡大するパソコン・IT機器の個人利用 (2)

石丸次郎/リ・ジンス

パソコンの所有は義務登録制

個人が所有する全てのパソコンは、当局への登録が義務付けられている。ク・グァンホ記者が平壌の登録事情について次のように語る。

「保安署(警察)に直接パソコンを持ち込まなければならない。所有者の名前、住所、パソコンの形式などを申告したあと、パソコンの電源を入れて、内 部をチェックされる。この時に韓国語のソフト(プログラム)があると全て消されてしまう。朝鮮で売られているほとんどのパソコンはウィンドウズだけれど、 その韓国語版でもダメ。中国語版や英語版を使わなければならない」。

一方、恵山市内での登録方法をチェ・ギョンオク氏はこう説明する。

「恵山市では、《道電波監督局》→《道一〇九常務》→《道保衛部》の順に登録手続きをする。登録が完了すると登録票が発行される。実際は、どこでパ ソコンを買ったかによって登録の仕方が異なる。例えば百貨店などの正規の商店で購入した場合は簡単だ。なぜなら、あらかじめインターネットに接続するため の機能や、CDをコピーするための機器(ドライブ)を外した状態で売られているから。店の領収証を役所に持っていけば問題なく登録できる。一方、個人や輸 入商店で買った場合には、品の出所を証明する方法がないので、登録するには賄賂が必要になる。もちろんその場合にも、インターネット機能と、CDドライブ はすべて当局に取り外される」。

これも、恵山市が中国との国境地域ゆえに管理が厳格なのだと思われる。登録したパソコンの検閲は、月に二、三回あるという。

ノートパソコンの未登録所有が横行

だが、恵山市全体で登録されている個人所有のデスクトップパソコンは、たかだか数百台程度にとどまるのではないかとチェ・ギョンオク氏は推測している。据付型は他人の目から隠しようがなく登録せざるを得ないため人気がない、というのだ。

「登録すると定期的に検閲が来てあれこれ煩わしいし、そもそもパソコンを持つ意味が無くなる。パソコンを買う目的は韓国や外国の映画・ドラマを見た り、CDをコピーするためだからだ。だから恵山市ではノートパソコンを登録せずに使用する人がほとんどだ。場所を取らず隠し易い。それに朝鮮ではいつ停電 になるか分からないので、バッテリーが内蔵されているノートが重宝される」
と、彼女は言う。恵山市では未登録パソコンが多数出回っているのが実状のようだ。

ノートパソコンは中国からの密輸品を扱う個人業者から買うのだという。万一当局に発覚すると、機械は即座に没収、用途を厳しく追及され、パソコンの 内部も洗いざらい調査される。だから家族以外には秘密に付すのだそうだ。さらにチェ・ギョンオク氏は「闇のソフト屋」にも言及する。

「韓国のソフトやプログラムは禁止されているけれど、やはり韓国語のソフトの方がはるかに使い易い。それで闇で韓国語版のウィンドウズ、韓国語で遊べるゲームソフトを売る業者がいる」。
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