◇豆満江下流全域に、ついに鉄条網完成

図們市から琿春市に向う道では、道路を拡張する工事も行われていた。資材が道端に詰まれ、道路のあちこちに穴が開き、水が貯まるなど、通行時の道路状況はひどいものだった。

図們-琿春間の豆満江沿いの国境道路では、道路拡張工事が行われていた。2013年7月、琿春市で撮影。

一方、中国側が豆満江流域で数年前から進めてきた鉄条網設置は、ついに下流域にまで及んでいたことが、今回の取材で明らかになった。鉄条網は、川幅の狭い図們より上流域については、昨年夏にほぼ完成していたが、川幅の広い下流域は遮るものは何もなかった。

この十数年、一部の北朝鮮住民が中国に越境してきて麻薬・覚せい剤などを密輸したり、武装した北朝鮮軍人が中国側住民の家に入って強盗を働いたりする事件が発生していた。人身売買事件も頻発していた。また豆満江を渡河してくる脱北者は膨大な数に上った。

このような「国境秩序の乱れ」は、主に川幅の狭い中上流域での出来事だったため、川幅が数百メートルに及ぶ下流域には鉄条網は設置しないと思われた が、豆満江下流の道路にはすべて真新しい鉄条網が張られていた。国境管理を厳格化するという中国政府の強い意思の表れだといえよう。

その影響はすでに現れている。
「豆満江の密輸は死んだ」
豆満江沿いに住む北朝鮮側の住人は嘆くように、そう言う。
また脱北する人間も激減している。
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