京都・京丹後市の米軍のXバンドレーダー基地建設に反対する人びと400人が建設予定地をデモ行進した(4月20日撮影・矢野宏)

京都・京丹後市の米軍のXバンドレーダー基地建設に反対する人びと400人が建設予定地をデモ行進した(4月20日撮影・矢野宏)

 

◆住民説明会では、『安心・安全の確保』について具体的な説明なし

京都・丹後半島の京丹後市に米軍のXバンドレーダー基地が建設されようとしている。地元住民に対して十分な説明もないまま、5月中に も着工されようとしている。4月20日には宇川農業会館で現地集会が開かれ、地元・京都をはじめ、全国各地から基地建設に反対する400人あまりが駆けつ けた。(矢野宏 新聞うずみ火)

大阪からバスで3時間あまり、京都府京丹後市へ。丹後半島の峰山町や丹後町など六つの町が2004年に合併して誕生した市で、人口5万6000人ほどの日本海に面した風光明媚な町である。

Xバンドレーダーとは、弾道ミサイルを探知し追尾する米軍の高性能のレーダー。目標を形として把握でき、4000キロ先にあるミサイルの弾道の探知が可能だという。

米軍のレーダー基地が宇川地区にある航空自衛隊経が岬分屯基地の隣に建設されるという話を地元の人たちが知ったのは昨年2月のこと。当初、防衛省は「このレーダーは日本の防衛のため」と住民たちに説明した。

その後、米国の上院軍事委員会が「北朝鮮からの弾道ミサイルからグアムの米軍基地を防衛するもの」と発表。結果的に、日本政府の嘘が明るみになっている。

日米両政府の狙いは、Xバンドレーダーを持つ軍事基地を要にして、イージス艦の母港である舞鶴港、京都府福知山市にある陸上自衛隊、新型輸送機オスプレイ基地が予定されている滋賀県饗庭野(あいばの)の演習場などと一体で東アジアに向けた「近畿の軍事要塞化」ではないか。

しかも、基地には160人の米兵が配備される。沖縄の基地被害が示す通り、「日米地位協定」によって日本の法律が及ばない治外法権ができることを不安視する声が地元で上がっている。

今年4月に入り、防衛省は基地予定地周辺の4カ所で住民説明会を開き、「5月から1期工事に着工し、今年中にXバンドレーダーを配備すること」を明らかにした。

集会では、「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」事務局長の永井友昭さんが住民説明会について、「担当者は『米軍の予定が明らかになりましたのでお話しします』と切り出し、住民側の懸念である『安心・安全の確保』については具体的な説明もありませんでした」と振り返った。

突然の説明会開催も、「4月23日のオバマ大統領来日へのお土産のパフォーマンスではないか。住民の理解は得られたというアリバイ作りだという声も上がりました」

「宇川有志の会」では、基地建設計画が明らかになって以降、「米軍基地反対」を訴えるビラを配布したり、署名を集めたりしてきた。「米軍基地受け入れ撤回」を求める署名は、対象地区の有権者1000人のうち、半数を超える560筆が集まった。

「米軍再編交付金」として、10年間で30億円が支給されようとしていることについて、沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは「辺野古移設で名 護市には10年間で1000億円がばら撒かれ、10億円かけて公民館をつくったら、やってきたのは本土のゼネコン。維持費だけで市は赤字が続いた。基地は 経済発展の障害です」と訴えた。

続いて、全国各地の米軍基地への反対運動が紹介され、レーダー配備と基地建設に反対するアピールが採択された。

集会のあと、参加者は横断幕や旗を持って近隣の集落など約5キロをデモ行進。参加者は「京丹後に米軍基地はいらない」などとシュプレヒコールを上げた。

【矢野宏 新聞うずみ火】

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