福井県おおい町を見学するツアーに参加。企画したのは「大飯原発差止訴訟」原告団。遊覧船からは、大飯原発が見えた(撮影:矢野宏)

福井県おおい町を見学するツアーに参加。企画したのは「大飯原発差止訴訟」原告団。遊覧船からは、大飯原発が見えた(撮影:矢野宏)

 

◆関西電力が保有する原発の中では最大規模

福井県おおい町を見学するツアーが7月6日にあり、参加した。呼びかけたのは「大飯原発差止訴訟」原告団。私は原告ではないが、おおい町と大飯原発を見ておきたかったので特別参加させてもらった。(矢野宏 新聞うずみ火)

福井地裁で、関西電力の大飯原発3号機、4号機の運転差し止めを命じる判決が出たのは5月21日のこと。2011年3月の東京電力福島第一原発事故のあ と、原発をめぐる初めての司法判断ということで注目された。樋口裁判長は原告の主張を認めて、運転を差し止める判決を言い渡した。

この福井地裁判決が画期的だったのは、大飯原発の運転の是非にとどまらず、地震国・日本で原発を持つことができるのかという本質的な問いを突き付けたこと。

樋口裁判長は判決文の中で、「優先すべきは『生存にかかわる人格権』で、発電の一手段でしかない原発はそれよりも優先順位は低い」として、「人格権に危険を及ぼす可能性が万が一でもあるようなら原発差し止めは当然だ」と述べた。

さらに、経済性についても「原発を動かさないことで多額の貿易赤字が出たとしても、これを国富の喪失というべきではない。豊かな国土とそこに国民が 根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と、「経済よりも国民の命や健康」を重視した判決 だった。関電は控訴した。

JR京都駅から貸し切りバスで2時間半。おおい町は福井県の西部地域にあり、京都府舞鶴市の東隣。日本海に面した風光明媚な町で、人口は8700人。2006年に隣接する山間部の名田庄村(なたしょうむら)と合併して、ひらがな表記になった。

大飯原発は、おおい町の北側に位置する大島半島の突端にある。海からでないと見えないため、遊覧船で若狭湾から日本海に出た。山間に隠れるように大飯原発1号機から4号機が見えた。関西電力が保有する原発の中では最大規模である。

福島第一原発事故後、2012年7月に3,4号機が全国で唯一再稼働した。2013年9月に定期検査に入り、現在は稼働していない。

遊覧船を降りて町内を歩くと、人口規模から見て不釣り合いとも思えるハコモノが町のあちこちに建て並んでいる。リゾートホテル、温泉などの娯楽施 設、総合運動公園には人工芝のサッカー場や野球場、体育館、フィットネスセンター、室内ゲートボール場など、いずれも豪華な施設である。
~つづく~
【矢野宏 新聞うずみ火】

★新着記事