軍事訓練受ける子供たち。「イスラム国」支配地域には外国から入ってきた戦闘員の子弟も暮らす。その中には将来の戦闘員としての軍事訓練を受けている者も少なくない。(シリア・IS映像)

軍事訓練受ける子供たち。「イスラム国」支配地域には外国から入ってきた戦闘員の子弟も暮らす。その中には将来の戦闘員としての軍事訓練を受けている者も少なくない。(シリア・IS映像)

 

消耗品の子ども兵、自爆攻撃に使用されることも
子どもたちは、大人の上官にとっては補充可能な消耗品である。コロンビアで兵士であった少女は、「もし、あなたが司令官を護衛できていないとゲリラが判断 すれば、彼らはあなたを殺す。戦闘では、彼のためにあなたは命を差し出さねばならない。彼は最初に逃げ、あなたは残って敵と戦わねばならない」と語ってい る(31)。

子どもは、大人の兵士の損失を軽減するために、「人間の盾」とされたり、地雷原を歩かされることもある。自爆攻撃にも使用される。アフガニスタンで は、2007年に国際治安支援部隊(ISAF)が、12歳と6歳の男の子が爆薬の仕込まれたベストを着せられていたケースを確認している。チェチェンで は、10代の少女を複数の男性が輪姦し、彼女の将来への希望を絶ち、自爆攻撃実行者とさせることもある(32)。

子ども兵は、たとえ戦争から生きのびることができても、社会で生きていくうえで様々な困難がある。彼らが、発達に応じて社会性を身につけることがで きなかった場合には、社会の中で日常生活を営むのは難しい。ましてや、アルコールや薬物の依存症、性病やその他の感染症に冒された状態で生きてゆくことの 過酷さは想像に難くない。

身の危険を感じる体験、残虐行為を目撃・強制された経験、性奴隷とされた経験は、子どもたちに深い心の傷を負わせる。軍や武装勢力から解放された後も、悪夢や思い出したくない体験に突然連れ戻されるフラッシュ・バックなどに悩まされる。

モザンビークで、スパイ、調理員、洗濯員、荷物運び、戦闘員などとして2ヶ月~3年間兵士となっていた39人の元子ども兵を対象とした調査による と、全員に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状がみとめられた。そのうち、紛争後の生活に適応するのに特に重大な困難があったのは3人で、2年以上 兵士だった子どもたちだった(33)。

次のペーへ ...

★新着記事