ドミニカ共和国の送電会社の例を紹介したい。料金を値上げしなければならなくなり、ドミニカ政府も財政の悪化で補助しない決定をした。すると2ドルを投資した米国の投資会社が「公正衡平待遇違反」として6億600万ドルの損害賠償を求めドミニカ政府を訴えた。2ドルしか投資していないのに最終的な和解額は2650万ドル。賠償金の支払いにあてられるのは税金だ。

最近でも、カナダのエネルギー会社が150億ドルの損害賠償を求めアメリカ政府を訴えた。メキシコ湾までパイプラインを敷く建設計画を、環境への影響を懸念する国内世論を受けてオバマ大統領が却下したからだ。オバマ大統領ですらISDを考えないと、このような投資絡みの政策の変更はできなくなっている。

日本国内では、「アベノミクス3本の矢」である日本の成長戦略が、産業協力会議、規制改革会議、国家戦略特区などの場面で具体的に進んでいる。「TPPのようなもの」がどんどん進んでいるのが実態だ。

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