中国製のラーメンとともに、ハングルで「人参三宝酒」と書かれた中国産の酒が見える。2013年10月北部国境都市。(撮影アジアプレス)
◆経済制裁と物価の関連
さて、以下は諸物価の動向について整理したメモである。物価推移表とともに参考にしていただきたい。経済制裁発動後に見られる物価変動が、制裁の影響によるものか、あるいは他の要因によるものか、現時点ではっきりしない点が多いことに留意されたい。
●中国人民元に関していえば、この数年レートは極めて安定していたのが、制裁発動直後の3月初旬からじわじわ上がった。しかし5月中旬にまた下がっている。値動きがはっきり大きくなっている。
●主食の白米、トウモロコシはこの2年あまり安値安定していたのだが、白米は4月から値上がり気味で、昨年末に比べて20%以上上昇している。逆にトウモロコシは、なぜか昨年末に暴落し、5月に入ってからは乱高下している。理由ははっきりしない。農村での現地取材によれば、市場での売り値が下がって農民が大きな打撃受けている。
●ガソリンとディーゼル油(軽油)は、制裁後にはっきり上昇している。このあおりで、バスや「サービ車」と呼ばれる商業的交通の運賃も上昇している。
●中国製の衣料品、靴、長靴などの価格が3月初めから急騰している。昨年に比べて、靴は一足当たり20-40元ほど値上がり、高級衣料も値上がりしているという。羅先の市場では、将来の値上がりを見込んだ地方の卸業者が中国製品の買占めに走っているとの報告が複数あった。
●税関で中国からの日用品の輸入が制限されているという報告はない。
●一般住民からは、5月20日の時点で、経済制裁の影響で大きな負担を感じているという報告はない。
※北朝鮮制裁決議「2270」の主な内容
(1)北朝鮮への航空燃料（ロケット燃料含む）の輸出禁止（例外あり）
(2)北朝鮮からの石炭や鉱物資源の輸入禁止（例外あり）
(3)北朝鮮に出入りする貨物の検査の強化
(4)安保理決議違反が疑われる全船舶の寄港禁止
(5)金融制裁を強化
(6)渡航禁止や資産凍結の対象となる個人、組織を増やす
