(参考写真)長白県から鴨緑江を挟んで北朝鮮の恵山市を臨む。密輸と脱北の拠点になっている地区だ。2010年6月、中国側から撮影アジアプレス

中国国境の封鎖が目的

当時この地域では人民班会議が開かれ、「『党の方針』によって今後撤去が進むので、覚悟して素直に応じるように」と住民に通達が出された。
※「党の方針」とは金正恩氏の直接指示をいう。

当時の住民撤去計画を伝えてきたB氏は
「脱北と密輸の拠点のようになった恵山一帯に『安全地帯』を作ることにしたのだ。「中国との国境線を第二の軍事境界線に作り変えよ」という指示だった」
と当時を振り返った。

もう一つの目的は、中国からの「見栄え」を気にしてのことである。B氏が続ける。
「川一つ隔てた中国の建物は立派なのに、朝鮮側には掘っ建て小屋のような家ばかりが目につくので、すべて取り壊して現代的な建物を建てることにしたのだ」

電力事情若干の改善か

平壌や羅先(ラソン)市以外の地方都市は、深刻な電力不足が続いているが、恵山市の中心部は電力事情が少し好転したようである。

前出の取材協力者A氏は
「最近は電気がよく来ている。他の地域はわからないが、恵山は5時間以上来る日もある。水道も市の郊外は出ないけれど、中心地区はポンプではなく、落差形式で上水を送るようになってよく出ている」
と、電気と水道事情の改善を伝えてきた。ただ、これから冬を迎えて川が凍結するため、水力発電への依存度が高い北朝鮮では、例年春まで電力難が続くことになる。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮内に搬入して連絡を取り合っている。

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