◆条例制定に野村氏は積極的

両候補とも(1)のアスベスト対策の内容は現在の市の取り組みとほぼ一致している。とくに解体ピークに向けた対策や大規模災害時における対策の重要性に関する認識は両候補とも共通している。違いがあるのは市内の麻袋再生業の被害者に対する呼びかけを野村氏が入れているくらいだろうか。

大きな違いは(2)のアスベスト対策条例制定についての見解だ。

永藤氏は「現状の取り組みを検証するとともに、更なる対策を講じるとすればどのような対策が実効的なのか、他市での状況も踏まえながら、条例制定の必要性を考慮し、総合的に勘案・検討していきたい」と表明。

現在の対策を検証したうえで、必要性を判断するというのは合理的な考えではある。

しかし、この回答は堺市の過去の議会答弁とほぼ同じ内容で、市は具体的な検討を先延ばしにして放置するためにこの答弁を使用してきた経緯がある。真意は不明ながら、過去の経緯を知っていると、どうしても条例制定に消極的なのではないかとの印象を受ける。

これに対し、野村氏は条例制定が「必要」と明言。

さらに「アスベスト公害への取り組みの必要性」のほか、これまでの取り組みを一過性のものにさせず継続的に実施させる規定、指導・監視体制の構築など5項目を条例に盛り込みたいと具体的に述べるなど積極的な姿勢をみせている。

<2候補の回答>

●永藤英機氏(大阪維新の会公認)

(1)市長に当選した場合、今後どのようなアスベスト対策を実施する考えなのか
高度経済成長期に大量のアスベスト建材を使用した民間建築物が建造され、今後、2028年頃に解体工事のピークを迎えることから、かかる解体工事におけるアスベストの飛散防止対策が重要だ。また、大規模地震等災害発生時における被災建物のアスベスト飛散防止対策の推進が必要である。併せて、アスベストに対する正しい知識の啓発活動にも取り組んでいく。

(2)アスベスト対策について条例制定を任期中にするつもりがあるか及びその理由
現状の取り組みを検証するとともに、更なる対策を講じるとすればどのような対策が実効的なのか、他市での状況も踏まえながら、条例制定の必要性を考慮し、総合的に勘案・検討していきたい

●野村友昭氏(無所属)

(1)市長に当選した場合、今後どのようなアスベスト対策を実施する考えなのか
アスベスト対策として、以下の取り組みが必要だと考えています。
・石綿検診の実施、罹患可能性のある方々への呼びかけ
・解体工事における建築物所有者・解体事業者への注意喚起・届け出・監視の強化
・災害時のアスベスト対策のマニュアル化
・市職員、市民への講演会や学校教育においての、アスベストに関する学習・啓発

2014年に、かつて本市に存在した麻袋再生加工業に起因する、アスベスト疾患の罹患者がいることが明らかになっています。罹患の認識をされていない市民もいらっしゃるはずです。また今後発生する、老朽化した建物の建て替えや、災害時の建物倒壊による飛散を防いでいかなければなりません。さらには、そもそも市職員、市民がその危険性について認識することが、身を守ることに繋がります。

堺市は、2018年には「堺市アスベスト対策推進本部」が設置するなど、飛散事件を教訓に、一定程度、他市よりも先駆けた取り組みを進めてきました。上記の四つの取り組みを、市長として積極的に進め、全国のアスベスト対策のモデル都市となるよう、全力を挙げて参ります。

(2)アスベスト対策について条例制定を任期中にするつもりがあるか及びその理由
アスベスト対策を謳った条例の制定は、必要であると考えます。
主に、以下の内容を盛り込み、広く周知する必要があります。
・現代社会におけるアスベスト公害への取り組みの必要性(前文等)
・堺市のアスベスト対策についての基本姿勢
・行政、事業者、医療従事者、市民などの義務規定
・これまでの取り組みを確定させる規定
・建物解体等に関して、法規制で十分ではない部分への指導・監視体制

★新着記事