◆最初から隠すつもりだったのでは…

しんぶん赤旗の報道を受け、あわてて領収証を12万円に訂正した。20万円以下なら収支報告書に記載しなくてよいからだと思われる。しんぶん赤旗日曜版より提供。

刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘する。

「規正法は20万円を超えるパーティ券購入者の明細を収支報告書に記載するよう義務づけているので、政治資金パーティの主催者は20万円を超える購入者には細心の注意を払うので、22万円の購入者を見過ごすはずがありません。

山添村支部は2019年にも22万円分のパーティ券を購入しているのに、第二支部はその明細を記載していませんでしたから、単純なミスで記載しなかったのではなく、山添村支部の購入分は初めから記載しない方針だったのではないかとさえ思えてなりません。ですから収支報告書ネット公表後の昨年12月に告発しました」

しんぶん赤旗の報道を受け、あわてて領収証を12万円に訂正した。20万円以下なら収支報告書に記載しなくてよいからだと思われる。しんぶん赤旗日曜版より提供。

◆高市大臣の弁明はウソの可能性

疑惑はそれだけに留まらない。告発状はもう一通存在していた。第二支部の代表である高市大臣とその会計責任者らが告発されている1月の告発状だ。

上記した通り、山添村支部はパーティ券を22万円分購入していたにもかかわらず、第二支部は記載していなかった。このことが「しんぶん赤旗日曜版」(以下、「赤旗」)で報道されると、山添村支部は、実際のパーティ券の購入は12万円で、残りの10万円は渉外費だったと昨年12月に収支報告書の修正を行ったのだ。要するに、パーティ券収入は20万円以下だったため第二支部は山添村支部からのパーティ券収入を記載しなかった、というわけだ。

高市大臣は今年1月13日の記者会見で次のように弁明している。

「22万円渡されたので、山添村支部宛に領収書を切った。すぐ電話がかかってきて、『支部で購入した分は12万円』と、あとは各個人が購入されているので、各個人宛てに領収書を送ってほしいということで再発送した」

このように「経緯」を説明した上で、

「お金の出入りがあった時期と、それからこの収支報告を作成する時期が違いますので、その全然違う人がやっているということで、先に発行して廃棄してくれといった22万円の方の領収書を使って山添村支部は収支報告書をつくってしまった」

つまり、山添村支部の事情で収支報告書が間違っていたと主張したのだ。

ところが「赤旗」の事前取材によると、山添村支部は「11枚を購入し11人が出席した」と回答している。明らかな矛盾だ。山添村支部の21年の支出は約58万円しかなく、その35%を越える出費を間違えることがあるのだろうか。

山添村支部が修正したことについても、上脇教授は次のように指摘した。

「高市大臣の弁明通り、山添村支部の購入額が12万円だったら、収支報告書に22万円と記載すると、収支が10万円合わなくなります。当時12万円の領収書を再発行していたら、22万円の領収書を廃棄していたでしょうから、収支報告書に22万円と記載するはずがないし、22万円の領収書の写しを選管に提出するはずがありません。嘘の弁明でしょう。ですから、訂正が虚偽だったとして、高市大臣の記者会見後に追加告発したのです」

◆自民党のパー券疑惑は底なし

山添村支部が購入した第二支部のパーティ券収入疑惑は、2019年のパーティ券でも同じような修正をしており告発状が出されている。

パーティ券収入の不記載問題は、自民党の主要派閥のパーティでも続発しており、高市大臣だけでなく、自民党で広く蔓延している問題である。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

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