◆街中からニワトリと犬の姿が消えた

会寧(フェリョン)市でも犯罪が増えている。3月に入って会寧市に住む協力者が次のように伝えてきた。

「毎朝、昨日はどこかで盗みがあったという話が出る。五鳳里(オボンリ)の農場では、除隊軍人含む男3人が牛を盗んで食べたのが発覚して捕まり監獄に送られた。元山里(ウォンサンリ)では、3月2日に協同農場の精米所の倉庫が襲撃され、わずか20分の間にコメ200キロ以上が盗まれる事件があった。警察は犯人を捕まえるために疑わしい者を片端から調べ家宅捜査までして騒ぎになった」

この協力者によれば、会寧市の街中ではニワトリや犬の姿が見えなくなったという。

「今は誰もが暮らしが大変厳しい状況だ。隙があれば捕まえて食べようとするので、飼い主たちは家畜を家の外に出さなくなった。困窮した人の中には、盗める物は手当たり次第に何でも盗もうとする者がいる。そこまでしないと食べていけないからだ」

新型コロナウイルス・パンデミックが始まった2020年1月以降、金正恩政権は中国との国境を封鎖して貿易を強く制限。住民の移動や商行為も厳しく統制したため、都市住民は現金収入が激減して困窮する人が一気に増えた。この人たちが飢えているのである。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

 

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