(参考写真)路上でタバコを売るおばあさん。教員である息子と一緒に暮らしているが、配給がないので一日中売っているという。2008年9月に黄海南道海州市で撮影アジアプレス。

◆無償医療制は崩壊 「街中に老人の姿が減った」

Q3 高齢者の健康のための特別な医療サービスはないのか?

A氏 医療は老人も一般の人と差はなくて、(高齢者に)特別なことをしてくれるというのは何もない。病気になったら、薬は買わなければならないし、入院なんて不可能なので、家にいることになる。

一番よく使われている薬はアヘンだ。病院に治療を受けに行けるのは力のある人や金のある人たちであって、一般の人はほとんど病院に行けない。私の近所に、まともな診断を受けられず何の病気かもわからず、アヘンを鎮痛剤として服用して一日一日を過ごしている老人がいるが、今日明日にも死にそうだ。

B氏 誰も病院にはほとんど行けない。お金もないし薬もないし、年寄りは病気になったら死ぬしかない。栄養が不足しているから、何かの病気に罹ってしまったら1カ月もつ老人はいないだろう。私の周りには、70歳を過ぎている人はほとんどいないと思う。街中で年寄りの姿がめっきり減った。

*コロナパンデミックを経た今、金正恩鮮政権は無償治療制を事実上放棄した。現在、病院や薬局でもお金がなければ薬を入手することはできない。また個人が医薬品を売ることを厳しく取り締まっている。事故などで緊急の手術が必要な場合のみ、病院の薬が無償で使用されることがあるという。

参考までに、韓国統計庁が2023年12月に発表した北朝鮮住民の推定平均寿命は男性71.9歳、女性78.3歳であるが、現状を反映しているのかは不明である。(続く 2へ >>)

※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

<北朝鮮内部調査> 衝撃の実態…生死の境界に立つ老人たちは今 (2) 生活苦で親を放棄・虐待する家族たち 国は無策のまま放置

 

 

★新着記事